ニキビダニ症罹患犬の末梢血単核球におけるサイトカインmRNA発現量

概要

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RT-PCR法を用いて犬ニキビダニ症罹患犬の末梢血単核球におけるinterferon(IFN)-γ,interleukin(IL)-2,IL-4,IL-5,IL-10,腫瘍壊死因子(TNF)-αおよびtransforming growth factor(TGF)-βmRNA発現量を半定量した.ニキビダニ症(局所性(LD)および全身性(GD))罹患犬のIFN-γおよびTNF-α mRNA発現量は健常犬のものに比べて軽度に低下していた.ニキビダニ症罹患犬(LDおよびGD)のIL-5 mRNA発現量は健常犬に比べて増加していたが,3群間におけるIL-4およびIL-10のmRNA発現量に有意差は認められなかった.いっぽう,GD犬におけるTGF-β mRNA発現量は健常犬およびLD犬に比べて増加していた.治療により寛解したGD犬3例のIL-5およびTGF-β mRNA発現量は治療前に比べて低下した.これらの結果から,ニキビダニ症罹患犬の末梢血単核球における免疫動態はTh2様反応に調節されており,治療によって各種サイトカインmRNA発現は可逆的であることが示唆された.特にIL-5 mRNA発現量はニキビダニ症の臨床的指標として有益である可能性が示唆された.また,LDおよびGD発症機構の違いを理解する上で,TGF-β mRNA発現量の増加が重要な因子である可能性が示唆された.
社団法人日本獣医学会の論文
2002-06-25