吸入麻酔薬が犬の喉頭ドライブレセプター(動き受容器)の活動に及ぼす影響

概要

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犬の喉頭ドライブレセプターは披裂軟骨, 甲状軟骨,輪状軟骨などの呼吸運動を監視している受容器であり, 上部気道の反射や構造的安定性の確保に寄与していると考えられている. 本研究では, 犬に対して通常用いられる吸入麻酔薬であるハロタン(Hal), イソフルラン(Iso), セボフルラン(Scvo)の喉頭ドライブレセプターに及ぼす影響を評価した. ビーグル大(n=14)を用い, ウレタン-α-クロラロースにて基礎麻酔の後,気管呼吸下で喉頭のみに吸入麻酔薬が作用できる処置を行い, 上喉頭神経内枝よりドライブレセプターの求心性神経活動を記録した. 40本のドライブレセプターから得られた神経活動中, 26本が吸入麻酔薬に対して放電数の増加ないし減少を示した. その応答様式は吸気時増大(15%), 呼気・吸気時減少(54%), もしくは吸気時増大・呼気時減少(31%)を示す3群に分けられた. 平均放電数からみた場合Halは呼気および吸気時に減少, Isoは呼気時に減少を示す傾向が認められたが, Scvoはいずれにも有意な変化を示さなかった. 上記の成績から麻酔時における喉頭ドライブレセプターに及ぼす影響はScvoがもっとも小さいことが明らかになった.
社団法人日本獣医学会の論文
1999-09-25