イヌにおける挙手動作の調教に関する筋電図学的研究
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概要
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幼犬5頭を用いて挙手動作の調教を連日行ない, 挙手動作の主働筋である上腕二頭筋より筋電図を3〜4日間隔で記録した. 筋電図は一般に, 動作に対応する持続性活動電位と, それに先行する疎な活動電位に区別された. 前者の潜時, すなわちpremotor time (PMT)は調教の進展と共に短縮しかつ一定となり, 調教の成果が明らかに認められた. その過程は無反応期, 遅反応期, 移行期, 完成期に区別され, 完成期におけるPMTは平均で119〜358 msecであった. また, 調教の一時休止によって, PMTの延長ならびにバラツキの増大が認められた. 後者の潜時, すなわちpreceding potential latency (PPL)は9〜1135 msecの広い範囲に分布したが, 15 msecにmodeをもつ群, 75 msecにmodeをもつ群および150 msec以上の群の3群に大別された. 視覚遮断, 挙手の合図に伴う音の遮断の実験によって, 75 msecにmodeをもつpreceding potentialの発現は聴覚入力に, 150 msec以上のものは視覚入力に依存すると推測された. これらの結果から, 挙手反応の運動プログラムは調教初期では主に視覚, 完成期に近づくにつれて聴覚に依存するようになると考えられた. また, 調教の出来の良い動物では早く完成期に達するほか, PMTが短かく, そのバラツキも小さく, あるいはpreceding potentialが完成期に消失するなど, 個体の調教適性が挙手反応時の筋電図パターン上に多面的に反映された.
- 1979-02-25
著者
-
宮園 裕子
鹿児島大学農学部獣医学科家畜生理学教室
-
佐々木 真敬
鹿児島大学農学部獣医学科家畜生理学教室
-
稲田 七郎
鹿児島大学農学部獣医学科家畜生理学教室
-
稲田 七郎
鹿児島大学農学部家畜生理学教室
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