競走馬における doping drugs の薬理学的研究 : IV. Chlorpromazine および phenobarbital
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概要
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クロルプロマジンおよびフェノバルビタールが, 馬の運動におよぼす影響を観察した. サラブレッド種乗馬3頭を用いて, 塩酸クロルプロマジン体重1kg当リ0.25mg, 0.5mgおよび1.0mg, フェノバルビタールナトリウム1頭当り1gおよび3gをそれぞれ皮下注射し,運動負荷時(投与1時間後に実施)に起こる lap time, 心電図波形, 心拍数, R-R 間隔, 歩数, 呼吸数の変化を観察し, 次の結果を得た. なお, 運動負荷実験に先立って, 両薬物について, 安静時における影響も同時に観察した. 1. 安静時, クロルプロマジンでは, 筋緊張の低下による外見上の変化が顕著に現われ, 同時に drowsiness が増強した. なお,個体によっては, 激しい restlessness を間歇的に示した. フェノバルビタールでも類同の鎮静的ないし抑制的な変化が現われたが, クロルプロマジンの場合に比べて, その程度は低く, また持続時間も短かった. 2. クロルプロマジンは, 馬の運動能力を著明に低下させたが, フェノバルビタールでは, 能力の低下は軽微であった. 3. クロルプロマジンは, 運動時, 特に速歩, 駈歩時に心拍数を増加させ, また, 心拍数の回復を遅らせる場合があった. これに対して, フェノバルビタールでは, 常歩, 速歩時に心拍数が減少した. 4. クロルプロマジン, フェノバルビタールとも, 運動直後の呼吸数を減少させた. 5. 両薬物とも, 心電図波形, R-R 間隔時系列の変動経過, 歩数には, 特定の影響をおよぼさなかった. 以上の結果について, doping の立場から考察した. 特に, クロルプロマジンによる doping は, たとえ少量の投与であっても, 運動器における重度の障害を引き起こす危険性が大きいと考察した.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1975-04-25
著者
-
稲田 七郎
鹿児島大学農学部獣医学科家畜生理学教室
-
吉田 茂
競走馬理化学研究所
-
藤井 仙二
競走馬理化学研究所
-
稲田 七郎
競走馬理化学研究所
-
草[ナギ] 千代子
競走馬理化学研究所
-
美馬 恭佑
競走馬理化学研究所
-
夏野 義啓
競走馬理化学研究所
-
藤井 仙二
競理研
-
草〓 千代子
競理研
-
美馬 恭佑
競理研
-
草 千代子
競走馬理化学研究所
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