正常犬における膝蓋腱反射のT波の基準値(内科学)
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概要
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膝蓋腱反射のT波を24頭の神経学的に正常な犬で測定した.T波は,膝蓋腱叩打により外側広筋(VL)に誘発される表面筋電図として記録した.反射弓(DRA)の長さとして,弟5腰椎の棘突起から大転子(GT)まで,およびGTから膝蓋腱までを直線的に測定した.左右のVLのいずれにおいても潜時に対するDRAの直線回帰は有意であった(P<0.001)が,回帰係数に左右差は認められなかった.左右のVLをひとまとめにした場合の潜時(Y : ms)に対するDRA(X : mm)の直線回帰式はY=0.0216X+1.693であった.また,感覚-運動神経混合伝導速度として84.6±5.5m/sが得られた.一方,T波の振幅に対するDRAの直線回帰の回帰係数には有意差は認められなかった.各個体の変動係数(CV)から全例での平均値土標準偏差を算出すると,潜時が9.14±3.65 %,振幅が3.54±1.14 %であった.このことは,無麻酔下の犬でも,手動による腱叩打により再現性のあるT波を記録できることを示している.本法を軽度の対不全麻痺の1症例に適用したところ, DRAに基づくT波潜時の95%信頼限界値を基準とした場合に,固有受容性感覚の軽度の障害を示した右後肢で信頼限界を超えるT波潜時が示された.本法は犬の神経学的診断における膝蓋腱反射のより正確な定量化に応用できるであろう.
- 2004-06-25
著者
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川崎 安亮
鹿児島大学農学部獣医学科
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川崎 安亮
鹿児島農学部家畜生理学教室
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稲田 七郎
鹿児島大学農学部家畜生理学教室
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稲田 七郎
鹿児島農学部家畜生理学教室
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永野 雅之
鹿児島農学部家畜生理学教室
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Kawasaki Yasuaki
Department Of Veterinary Physiology Faculty Of Agriculture Kagoshima University
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