レプトスピラ病の感染および感染防禦に関する実験的研究 : III. マウスをレプトスピラの定量に用いる方法
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概要
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レプトスピラ病に関する定量的研究は, これまで殆んどおこなわれていない. これは適当な定量方法が無かったためと考えられる. われわれは, レプトスピラ, 特に組織や臓器中のレプトスピラの定量に, マウスを使用することについて基礎的検討をおこなった. 実験の結果を要約すればつぎのとおりである. 1) マウスの尾端を切って少量の血液をとり, これについて凝集溶菌反応をおこなうことによって, 予めレプトスピラの自然感染のおそれのない無処置マウスをえらび, 実験に供することが可能である. 2) dd系マウス3,038匹について, Leptospira iceteruhaemorrhagiae および Leptospira ballumを含む5種の抗原を用いて凝集溶菌反応をおこない, 抗体を調査したが, 陽性マウスは1匹も認められなかった. 3) 少数のレプトスピラをマウスに接種して, マウスのレプトスピラに対する感受性を検査した. 凝集溶菌抗体の上昇, および, 腎からのレプトスピラ回収が, 少数のレプトスピラを接種されたマウスでも認められた. 凝集溶菌抗体の上昇を感染のめじるしとした場合, TR-1株(Leptospira iceteruhaemorrhagiae)のdd系マウスに対するID_<50>は11.2±1.5ケ, 佐伯株(Leptospira autumnalis)のそれは1.9ケと計算された. マウスがこのように少数のレプトスピラに感染することを利用して, 少数のレプトスピラをマウスを用いて検出することが可能と考えられる. 4) 実験感染の結果, レプトスピラを尿中に排泄するようになったマウス4匹を, 無処置マウス7匹と同じ箱の中で飼育して, 同居感染の有無を検討したが, 21週間の観察期間中, 同居感染は認められなかった. 5) 組織や臓器の中のレプトスピラ数を, マウス接種により算出するための, ひとつの式を記載した.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1959-10-30
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