レプトスピラ病の感染および感染防禦に関する実験的研究 : IV.マウスにおける実験的Leptospira icterohaemorrhagiaeおよびLeptospira autumnalis感染の定量的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
体(;コニ12~15gのdd系マウスに,それぞれ100ケのLePlOsPiraicterohaemorThagiae(TR-1株),およびLePtosPiraau/umnalis(佐伯株)を皮下接1111Fし,定められた時期にそれぞれ2匹づつ順次殺処分し,体内のレブトスピラを定量した.その結果を要約すれば次の通りである.1。 レプトスピラを接種されたマウスは,殆んど無症状に経過した.しかし,体内で,レブトスピラの組織だった増殖が認められた.2.佐伯株を用いておこなった実験によれば,感染初期に,マウス体内でレブトスピラの増殖が最初に認められる部位は血液であった.その他の部位,すなわちエキカおよびソケイリンパ節,接種部洗}條液,および肝においては,血液よりもおくれで,しかも血液よりも少数のレプトスピラが認められたにすぎなかった.3.マウスの血液中で,TR-1株は感染後4~91]{1-1,またイ/1-ミ・(白株は3~10日目にかけて,6,7日目を頂点とする相称性の発育曲線を示した.頂点のレフ斗スピラ数は,血液1cc当105(TR-1株)お3よび104(佐伯株)であった.対数的増殖期におけるMcangcncrat10ntimeは,TR-1株が7.2~11時間,佐拍株が6~8時間であった.感染後11日[11以降は両株とも血液から全く検出されなかった.4,感染後8~10日目頃,すなわち抗体がマウスの血液中に出現しはじめた時期に,抗体陽性のマウスの血液から,イ/{ミ・[}(-1株はしばしば検出されたのに反し,TR-1株は殆んど検出されなかった.Scrotypc間のおなにような差が,別のびと組のレプトスピラ,三河島株(LePtosPiraiclerohaemorr/lagiae)および岡IITI株(Leptospiraautumna/is)の間にも認められた。5.マウスの肝におけるTR-1株とイ左仙株の増殖は,それぞれの株の血液における増殖と,時期的にも量的にも略々似ていた.肝ではしかし,血淑におけるよりも1日おくれてレブトスピラが検出されはじめた.6.腎における両株の発育は,同じく血液におけるよりも1日おくれて認められたが,しかしその増殖曲練は,血液や肝における場合と全く異っていた.すなわち感染後7日目または8日目順に最初の頂点(TR-1株では106,佐伯株では105)が,ついで9~11口目,すなわち抗体出現の頃に下阿が認められ,さらにそれ以後に増殖曲線は再び上,11-]′.し,すくなくとも91日目までそれほど下降を示すことなく続く独得の形を呈した.最初の対数的増夕jl′(期におけるMcangcncrationtimcはTR-1株が凡そ6.8時間,佐拍株が6~9.6時間であった.7.尿中へのレブトスピラ排泄は,感染後21日目から頻繁に言忍められるようになった.8.マウスの牌,肺,副腎,お ,あった.11. この実験に用いた2つの型のレプトスピラによるマウスの実験的レプトスピラ病は,その細菌学的な姿が,相互に似ていることが認められた.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1960-02-25
著者
-
平棟 孝志
農林省家畜衛生試験場
-
石井 進
農林省家畜衛生試験場
-
梁川 良
酪農学園大学獣医学部獣医伝染病学教室
-
梁川 良
農林省家畜衛生試験場
-
清水 健
農林省家畜衛生試験場
-
藤田 潯吉
農林省家畜衛生試験場
関連論文
- レプトスピラ毒力および無毒力株のプラスミドDNAの検出とそのプラスミドプロファイルの比較
- 16S rRNA遺伝子配列の比較解析による幼若ラット尿石症由来コリネバクテリアの同定
- めん羊の毛刈創傷へのヨードチンキのスプレー塗布による乾酪性リンパ節炎(CLA)の予防(短報)
- めん羊の Corynebacterium pseudotuberculosis 感染における毛刈創傷の重要性を示す血清疫学的所見(短報)
- 小莢膜保有K. pneumoniae莢膜型1の健康種雄馬精液および子宮内膜炎罹患馬子宮頚管における存在およびその大莢膜保有株との毒力の比較
- 牛尿路コリネバクテリアのCAMPテスト
- 傳染性貧血馬ノ病理組織學的研究IV. 卵巣ノ知見補遺
- 牛肺疫補体結合反応術式の検討
- 21 北海道に発生した牛のヨーネ病について (第61回日本獣医学会記事)
- Campylobacter fetusの凍結乾燥(昭和52年度第23回凍結及び乾燥研究会研究報告)
- Corynebacterium renale 感染で膀胱炎を起こした牛と腎孟腎炎のそれの抗生物質による治療効果
- 21 各型Corynebacterium renale感染牛における血中抗体の有無と抗生物質による治療効果の関連(微生物学分科会)(第72回日本獣医学会記事)
- 42 Corynebacterium renale感染牛の血中抗体の意義 (微生物学分科会)(第69回日本獣医学会)
- Corynebacterium renale各タイプのわが国の牛における分布
- 腎孟腎炎が長期間認められた1牧場の牛から分離された Corynebacterium renale の型別
- 134 牛乳房炎の発症機序に関する研究 : X. Bacterial Subclinical Mastitis 群の乳汁中の細菌叢と病理組織学的所見
- 60. ウマ流産ウイルスに関する研究 : II. 北海道における自然感染例からのウイルス分離 (第45回日本獣医学会記事)
- 牛のPSITTACOSIS-LYMPHOGRANULOMA群ウイルスによる疾病に関する研究 : VII. ウシの糞便からのウイルス分離
- 111. 緬羊,山羊の伝染性皮膚炎について
- 緬・山羊の病毒性膿疱性発疹について-予報-
- パラチオン系有機燐剤撒布穀類給與による鶏の生体並に解剖組織学的所見について(第 5 回大会講演要旨)
- 12 ウシ乳房炎の発生機序に関する研究 : IV. ウシ(乳・鼻汁・糞)からの1ウイルスの分離について
- 尿路コリネバクテリア分離用選択培地を用いての牛外陰部,膣前庭からの本菌の検出
- レプトスピラ病の感染および感染防禦に関する実験的研究 : IV.マウスにおける実験的Leptospira icterohaemorrhagiaeおよびLeptospira autumnalis感染の定量的研究
- レプトスピラ病の感染および感染防禦に関する実験的研究 : III. マウスをレプトスピラの定量に用いる方法
- レプトスピラの培養に関する研究 : II. 集落形成のためのひとつの条件について
- レプトスピラの培養に関する研究 : I. 100℃および121℃で非働化された血清加液体培地におけるレプトスピラの発育について
- ALTARAらによる伝貧補体結合反応の検討
- 22. レプトスピラの培養に関する研究 : I. 高温加熱した血清加培地におけるレプトスピラの発育について (第46回日本獣医学会記事)
- 63. ALTARA 等による伝貧補体結合反応に就いて II. (第45回日本獣医学会記事)
- 34. 家畜のトキソプラズマ症に関する研究 : I. 我が国の各種家畜におけるトキソプラズマ抗体の血清学的調査研究 (第45回日本獣医学会記事)
- 31. レプトスビラの感染及び感染防禦に関する実験的研究 : II. L. icterohaemorrhagiae の仔豚感染実験 (第45回日本獣医学会記事)
- Miyagawanella: Psittacosis-lymphogranuloma群ウィルス : 6. ニワトリ血清のオウム病間接補体結合反応について
- ヤギのウイルス性肺炎に関する研究 : V. ヤギ血清の補体結合反応による抗体調査
- 6. 日本に於ける伝貧の研究推移
- 112. 山羊の伝染性肺炎に関する研究 I. 病原に関する研究
- 傳染性貧血馬ノ病理組織學的研究.V.頸静脈血液中ニ於ケルじでろちーてん(鐵細胞)ノ檢出トソノ生前診斷的價値ニ就テ
- 傳染性貧血馬ノ病理組織學的研究III. 組織鐵並鐵細胞ノ知見
- 194 乳牛のリピートブリーダーの原因および治療に関する研究 : EstriolおよびProgesteroneの併用による治療について (第61回日本獣医学会記事)
- 18 凍結が牛の尿中細菌に与える影響について (第61回日本獣医学会記事)
- 31 牛乳房炎の発症機序に関する研究 : VIII.乳汁あるいは乳房の細菌学的分類とその病理組織学的所見(追試) (第59回日本獣医学会記事)
- 152 乳牛のリピートブリーダーの原因および治療に関する研究
- 31 牛の細菌性腎盂腎炎に関する研究 : I.みかけ上健康な牛の尿その他におけるC.renalの検出成績
- 29 牛乳房炎の発生機序に関する研究 : IX.パラインフルエンザ3型ウイルスを乳房内に感染させたウシの形態学的所見
- 28 牛乳房炎の発症機序に関する研究 : VIII.乳房あるいは乳汁の細菌学的分類とその病理組織学的所見
- 214 1軽種馬牧場におけるウマ鼻腔肺炎ウイルスの伝播と流産について
- 196 牛乳房炎の発症機序に関する研究 : VII. ウシから分離した1ウイルスの病原性について
- 195 牛乳房炎の発症機序に関する研究 : VI. 各種細菌の乳房内接種試験(予報)
- 194 牛乳房炎の発症機序に関する研究 : V. 生理食塩液、蒸溜水、牛乳その他の乳房内注入について
- 4 Corynebacteriumによる豚の化膿性疾患の集団発生例について
- パラチオン中毒家畜の腦コリンエステラーゼについて
- マウスをレプトスピラ病の予防の実験に用いることについて
- マウス腎に保有されるLeptospira autumnalisに対する抗生物質および免疫血清の治療効果について
- 51 牛乳房炎の発症機序に関する研究 : III. 乳房炎発症前の細菌叢について
- 50 牛乳房炎の発症機序に関する研究 : II. 発症分房乳汁の細菌検索成績
- 各種動物由来ブドウ球菌の抗生剤耐性
- タイトル無し