ALTARAらによる伝貧補体結合反応の検討
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概要
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伝貧の一診断法として伊太利のALTARA,SERRA,GUARINIにより報告された神体結合反応を本邦の伝貧馬並に非伝貧馬血清に応用し,その診断的価値を検討した.本法は1953年,最初に発表されて以来反応術式,抗原調製法等が数回に-1-[[つて原著者等により修正されたが,これらの方法に従って実施した実験から現在迄に得られた成績を要約して報告する61)本邦各地の伝貧検診馬血清765例に就いて口本診断基準による成績と,本反応の成績を比較した処,陽性反応はイ云貧馬と診断された30例中8例(272の及び非伝貧馬と診断された735例中72例(10%)に見出され,病馬群に陽性率が高い傾向はみられたが画法の成績はー・致しなかった(Tablel)。2)由来の異なる伝貧馬(豪俊系2例,Wyom-ing系1例)から抗原を作り,伝貧馬として殺処分された自然感染馬の血清36例に就いてこれら3抗原の反応成績を比較した.その結果,各抗原共概.ね-・致する反応成績を示し各抗原の陽性率は概ね50%であった(Table2,3).次に,健康馬並に非伝貧馬で破傷風に罹ど.゛.(l塔死した馬の各牌臓から抗原を調製し,伝貧馬並に健康馬の各血清に就いて反応を実施し,伝貧馬抗原による反応成績と比較した処,イ云貧馬抗原が若干強い反応を示す傾向は認められたが他の非伝貧馬抗原も陽性血清に対し同様に反応するのを認めた(Table4).従って抗原は本病ウイルスに関係なく非特異因子によるものと考えられる,3) ALTARAらから分与を受けた抗原を用い,人工感染馬,健康馬各10例(これら血清は伊太利に送付し7ALTARAらに依っても調べられた)に就いて血清稀釈法,補体稀釈法等を実施して反応の特異性を量的に検討した.その結果,反応は概ね伝貧馬に強く現れる傾向は認められたが,健康馬も高率に反応する所見を得,然も反応の強かった血清は何れも抗キ1-1j体作用が強く,猶伝貧馬は健康馬より強い作用を示す傾向か窺れた(Table5).従って1.52≦高張食j′j1i(液による斯かる血清の非働化法は血清の抗補体作用を除去するに充分でないと思われる.更に,本反応が所謂抗原抗体反応に起因するものかどうかを検討する目的で上記材料の中ALTARAらによって行われた反応の成績が特に強陽性であった病馬血清,並に陰性であった健康馬血清の夫々に就いて反応企詳細に観察したか両血清間には抗補体作用の著しい差がみられ,然もこの差は抗原2加えた場合の溶血阻止価に於ける両血清間の差と大差ないものであった.従ってALTARAらの抗原を以てしても陽性血清か特に特異的反応を示していると断定することは困難・
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1959-02-28
著者
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