肝線維症ラットの血清中III型プロコラーゲンペプチドのELISA法による定量
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概要
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肝線維化の過程および肝のヒドロキシプロリン(HYP)量と血清中のIII型プロコラーゲンペプチド(PIIIPN)量の変化を, 2種類の肝線維症ラットモデル, すなわち, 胆管結紮・切断(BDL/s)モデルおよびジメチルニトロソアミン(DMN)投与モデル, を用いて検索した.BDL/sモデルでは, 肝線維化は術後2週後から始まり, 5週後以降には顕著な胆管増生を伴う肝硬変像が観察された.我々の提唱したdouble armed inhibition ELISA変法を用いた測定で, 血清中のPIIIPN量は1週後から増加し始め, その後も増加し続けた.肝のHYP量は3週後から始め, 7週後まで増加し続けた.また, 肝のIII型コラーゲンmRNAの発現は2週後以降増強し, 特に4および5週後に顕著であった.一方, DMNモデルでは, DMN最終投与の1週後にすでに顕著な肝線維化が観察されたが, 4週後には線維化の程度は明らかに軽減した.血清中のPIIIPN量は1週間後に顕著に増加したが, それ以降は減少した.肝のHYP量は1週後に顕著に増加し, それ以降減少した.今回の検索結果から, 2種類の肝線維症ラットモデルで, 肝線維化, 肝のHYP量および血清中のPIIIPN量の推移が互いに良く相関していることが明らかになった.結論として, ELISAによる血清中PIIIPN量の測定は, 肝線維化の程度を評価する上で適切な方法であると考えられる.また, 今回利用した2種類の肝線維症ラットモデルは, 抗線維化薬の開発手段として有用であると思われる.
著者
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Lee Yong-soon
韓国
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Lee Yong-soon
中華人民共和国
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Lee Yong-soon
ソウル大学獣医科大学農業生物工学科獣医公衆衛生学講座
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Lee Yong-soon
Department Of Veterinary Public Health College Of Veterinary Medicine Seoul National University:scho
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Lee Yong-soon
ソウル大学校獣医科大学獣医公衆衛生学・実験動物学教室
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CHO Jae-Jin
ソウル大学校獣医科大学獣医公衆衛生学・実験動物学教室
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Cho Jae-jin
ソウル大学校獣医科大学獣医公衆衛生学・実験動物学教室:ベルリン自由大学ベンジャミンフランクリン病院胃腸病研究室
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LEE Yong-Soon
Laboratory of Stem Cell and Tumor Biology, Department of Veterinary Public Health, College of Veterinary Medicine, Seoul National University
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