5-Fluorouracil (5-FU) のラット培養胚への影響
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概要
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全胚培養法を用いたin vitro胎児毒性試験の有用性を検討するために, 胎齢9日 (膣栓確認日=胎齢0日) のラット胚を48時間培養し, その間に抗癌剤である5-Fluorouracil (0.15〜0.30μg/ml) を適用した時に生ずる変化を, 母体内で曝露 (5-FU;10〜30mg/kg, i.p.) した胚に生じる変化と比較検討した. その結果, 妊娠9日の5-FU曝露により, 妊娠末期の胎児観察では, 胎児の発育抑制が認められ, 主な奇形として, 小眼 (無眼) が用量に依存して増加した. また, 小眼 (無眼) は, 胎齢11日の胚では眼胞の低形成として観察された. この眼胞の低形成は培養胚にも観察され, 5-FUの濃度に依存して増加した. また, 培養胚の頭臀長, ソマイト数, 蛋白含量, 形態学的スコアは, 5-FUの濃度に依存して減少し, 胚の発育抑制が認められた. さらに, 母体内曝露胚と培養胚の眼胞部位の組織学的検査およびナイルブルー染色による眼胞周囲の細胞死パターンの観察を実施した. これらの項目では, 5-FUを処理した母体内曝露胚と培養胚は, 同様の変化を示した. 以上の結果から, 5-FUの胚への影響は, 母体内曝露胚と培養胚との間で同様であることが確認され, 全胚培養法はin vivoで認められた胎児毒性の発現機構の解明のための一手段として有用であることが示唆された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1998-01-25
著者
-
高島 宏昌
(財)食品薬品安全センター秦野研究所
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長尾 哲二
財団法人食品薬品安全センター
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長尾 哲二
(財)食品薬品安全センター 秦野研究所
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桑形 麻樹子
(財)食品薬品安全センター秦野研究所
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長尾 哲二
(財)食品薬品安全センター秦野研究所
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高島 宏昌
(財)食品薬品安全センター 秦野研究所
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桑形 麻樹子
食品薬品安全センター秦野研究所
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