マンソン住血吸虫の脂質組成と糖脂質成分の表面標識
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概要
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患者から採取したマンソン住血吸虫およびBiomphalaria pheifferi貝で培養したケルカリアをマウスに接種して得た同虫(共に成虫)の脂質組成を調べた. 両虫の中性脂質としてコレステロールエステル, 遊離脂肪酸, コレステロールが検出され, トリグリセリドは後者の虫にのみ検出された. 両虫のリン脂質組成は等しく, ホスファチジルコリン(レシチン)が最も多く, ついでホスファチジルエタノールアミン(ケファリン)が検出された. 糖脂質組成は少量のため, マウス由来虫体を直接あるいはトリプシン消化後ガラクトースオキシダーゼで酸化し, [^3H]水素化ホウ素ナトリウムで還元し糖鎖のガラクトースおよびガラクトサミンを標識して調べた. トリプシン処理は糖脂質成分を標識するのに10倍有効であった. 単糖, ニ糖, 三糖, 四糖よりなる糖脂質が標識され, 三糖よりなるものが最も強く標識された. この事実は虫体表面に糖脂質が露出していることを示唆しているが, ゲル内沈降反応では, 虫体から精製した酸性および中性糖脂質画分にはウサギ抗血清あるいは患者血清と反応する抗原性は検出されなかった.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1985-10-15
著者
-
内貴 正治
北海道大学獣医学部生化学講座
-
RAMASAMY Ranjan
ナイロビ大学生化学部門
-
OCHANDA James
北海道大学獣医学部家畜生化学教室
-
MAINA Godfrey
ナイロビ大学生化学部門
-
内貴 正治
北海道大学獣医学部生化学教室
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