タカサゴユリ(Lilium formosanum Wallace)の自殖性について
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概要
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日本に帰化し,テッポウユリ亜属の中で特異的に雑草性を示すタカサゴユリの自殖性について検討し,次のことを明らかにした。1)タカサゴユリは同じテッポウユリ亜属のテッポウユリやササユリに比べてP/O比(花粉数/胚珠数比)が小さく,自殖性が高いと考えられた。2)自殖種子では他殖種子と比較して発芽率が低く,より強い休眠性を示した。また,自殖種子から発芽した第一代はほとんど弱勢が認められず,むしろ生育量は他殖の第一代よりも大きかった。3)自殖の第一代では茎立ち数が多くなった。また,繁殖分配率は鱗茎で高く,栄養繁殖器官への分配が大きかった。4)他殖の第一代では繁殖分配率が高く,種子繁殖への依存度が大きかった。また,他殖第一代では自殖個体に比べて開花が斉一的であった。5)タカサゴユリは昆虫の訪花がない場合でも,自殖により種子を形成した。しかし,一方で野外条件においては高率で他殖を行っていることが認められた。以上より,タカサゴユリは高い自殖性を有していることが明らかとなり,この特性はタカサゴユリが帰化植物として繁栄している一因であると考えられた。
- 日本雑草学会の論文
- 2002-09-30
著者
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