CD38遺伝子欠損によってマウス大動脈におけるαアドレナリン受容体刺激誘発性収縮が抑制される(薬理学)
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概要
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CD38はNADよりサイクリックADPリボースを合成し,さらにサイクリックADPリボースをADPリボースへと加水分解する酵素である.Ca^<2+>遊離物質として知られているサイクリックADPリボースの生理的役割を明らかにするために,CD38遺伝子欠損(CD38^<-/->)マウスの大動脈を使って実験を行った.野生型マウス(CD38^<+/+>)の大動脈では検出されたCD38タンパク質が,CD38^<-/->マウスの大動脈からは検出されなかった.どちらのマウスの大動脈においてもKClは濃度依存性に収縮張力を増加させ,その最大収縮張力は同程度であった.しかし,フェニレフリンやノルエピネフリンによる収縮はCD38^<-/->の方がCD38^<+/+>のそれよりも小さかった.セロトニンおよびエンドセリン-1,カフェイン,タブシガルギンによる収縮には有意な差は認められなかった.これらの結果から,CD38遺伝子欠損によってα受容体を介する血管収縮が抑制されることがわかり,サイクリックADPリボース介在性情報伝達経路がこの反応に関与している可能性が示唆された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2003-12-25
著者
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岡本 宏
東北大学先端再生(江東微研)
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高沢 伸
東北大学生化学
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加藤 一郎
東北大学大学院医学研究科生物化学分野
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岡本 宏
東北大学大学院医学研究科生物化学分野
-
柳澤 輝行
東北大学大学院医学系研究科分子薬理学
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加藤 一郎
東北大学大学院医学系研究科生物化学分野
-
柳澤 輝行
東北大学大学院医学系研究科分子薬理学分野
-
柳澤 輝行
東北大学医学研究科分子薬理学
-
斉藤 みの里
東北大学大学院医学系研究科分子薬理学分野
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高沢 伸
東北大学大学院医学系研究科生物化学分野
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岡本 宏
東北大医第一医化学
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岡本 宏
東北大学生物化学
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岡本 宏
香川大学農学部
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柳澤 輝行
東北大学大学院医学系研究科 分子薬理学分野
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