滅失住宅推計方法論および地域特性の検討 : 住宅統計資料の分析-その 3
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概要
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以上の考察から得られる要点をのべ, 本稿のむすびとする。1)建築時期別住宅の滅失変化は, ロジスティック曲線あるいはゴンペルツ曲線の変化にきわめてよく適合することが確認され, 戦前住宅と終戦時〜25年住宅に関して検証することができた。これにより建築時期別に住宅の耐用年限の推計が可能となり, 滅失住宅戸数の推計方法としても利用できる。2)以上の現象は全国都道府県レベルの場合にもあてはまり, 地域別の住宅滅失変化の動向が捉えられた。それによると, 住宅の滅失水準は地域の特性をかなり反映しており, 各地方ブロック別の特徴もみられるほか大略的にみて西日本より東日本地域の方が住宅の滅失化は速い。3)以上の滅失水準の地域別特性を建築年代ごとにみると戦前住宅においてその傾向がもっとも著しくあらわれており, 建築年代が若くなるにつれて薄れてゆく。また戦前住宅の滅失は全体的に60〜70%を占めるが, 地域別には, 非都市化地域ほどより重要な意味をもっている。4)地域における住宅の滅失比率の水準は住宅の耐用年数と密な関係にあり, 滅失比率が高ければ耐用年数は短く, 同時にその逆のこともいえる。5)またこの滅失比率は, 時系列的には理論曲線変化の横断面指数を意味しており, このことから地域における住宅の滅失動向の予測が可能となる。一方, 建築統計年報による考察から次の点が確認された。6)住宅の除却活動はここ15年来漸次活発化してきており, 地域別には概して西日本より東日本地域における活動が旺盛である。このことは上記2)の滅失における事実と一致する。7)除却理由別の比較では老朽による滅失は全体的に70〜80%が老朽要因による滅失とされているが, この比率は近年ほぼ一定している。また, 地域別との対応では都市化地域ほど老朽理由による除却の比率が低くなり, 都市化過程における社会的・経済的・環境的要因からの住宅除却の比重が増大している。
- 社団法人日本建築学会の論文
- 1978-05-30
著者
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