レプリカ作成法を利用した個別雪結晶による粒子洗浄特性解明のための新しい試み
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概要
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個別雪結晶捕集のため,新しくコロジオン膜を利用し、雪結晶のレプリカ作成を試みた。雪結晶の捕集は、2001年1月,京都大学宇治キャンパスの屋上(地上約20m)で行った。凝集せず直径120μmから2.5mmまでのろっか形と樹枝状のもとの形状を保持した個別雪結晶がコロジオン膜(130±10μm)上にレプリカとして捕集できた。科学的内部構造と元素の混合状態を含む個別雪結晶の化学性状特性を調べるため,荷電粒子励起X線放射(particle Induced X-ray Emission, PIXE)法とmicro-PIXEを応用した。PIXE分析の際,パッキング財の不純物の影響とビーム照射によるコロジオン膜の破損なく,主に水溶性・不溶性粒子と雪結晶の衝突洗浄効果によって取り込まれた数種類の元素成分を分析することができた。これらの元素の質量は雪結晶の粒径に大きく依存し,土壌成分と硫黄を含んだ人為起源成分の混合の状態でほとんどが雪結晶の端に分布していることが分った。本研究から得られた,個別雪結晶に対する元素質量の粒径依存性,科学的内部構造と混合状態等の詳細な情報は,降雪による大気汚染物質の洗浄メカニズムの解明に貢献することができる。
- 社団法人大気環境学会の論文
- 2003-03-10
著者
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東野 達
京都大学大学院エネルギー科学研究科
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笠原 三紀夫
京都大学大学院エネルギー科学研究科
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酒井 卓郎
日本原子力研究所高崎研究所
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酒井 卓郎
日本原子力研究開発機構高崎研究所
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笠原 三紀夫
中部大学・総合工学研究所
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馬 昌珍
京都大学大学院エネルギー科学研究科
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馬 昌珍
福岡女子大学人間環境学部環境理学科
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東野 達
京都大学大学院, エネルギー科学研究科
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笠原 三紀夫
京都大学大学院
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