記録管理媒体の規格標準化と産業合理化・戦時統制 : A列・B列用紙規格の導入と定着
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
近年、我が国企業、地方公共団体や各種非営利組織などにおいて、記録管理媒体としての用紙規格をB列からA列用紙に変更する試みが急速に進められてきた。このような規格の変更は、在来の和紙サイズを源流に持つB列規格が国際化の中でしだいに淘汰されている過程ととらえられている。しかし、B列規格は、明治期以降における洋紙導入とそれに起因する規格の混乱を経て、昭和戦前期の産業合理化政策と戦時統制によって定着した新しい規格であり、伝統的な和紙サイズとは異なった規格であった。戦時期の規格標準化は結果として企業・組織の記録管理の効率性を高めることに寄与したと推察される。しかし、B列規格は希少資源の国家による効率配分という、個別組織における記録管理生産性向上への努力とは異質な発想の政策によって定着し、やがて戦後へと引き継がれたのである。
- 記録管理学会の論文
- 1999-09-15
著者
関連論文
- ベッドサイドとアカデミズム : 看護教育の戦後史と大学化
- 田口卯吉の貿易理論と関税政策
- 近代日本研究会編『明治維新の革新と連続 : 政治・思想状況と社会経済』(年報・近代日本研究(14))
- 戦後石炭産業における構造調整政策と企業再編 : 植村構想と第4次石炭政策
- 戦後小売業における地域間競争と規模間関係--山梨県甲府市の事例
- 記録管理媒体の規格標準化と産業合理化・戦時統制 : A列・B列用紙規格の導入と定着
- 1890年代前半における国内紡績業の輸出振興策 : その評価の再検討 (西川俊作教授退任記念号)
- 上野裕也著, 『戦間期の蚕糸業と紡績業』, 日本経済新聞社、一九九四年一一月、二二八頁、三八〇〇円
- 明治期綿糸紡績業におけるリング紡績機の導入と生産性の上昇 : 輸入技術の導入と定着をめぐる予備的考察
- SEHS Next Tide Workshop 2011報告
- 情報・信頼・市場の質(パネル(2)情報・信頼・市場の質,第78回全国大会小特集)