トカラ列島で採集されたユスリカの種類について
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概要
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トカラ列島は九州の南に位置し, その動植物相はさらに南の奄美, 沖縄諸島といわゆる渡瀬ラインを隔てて日本本土のそれの南端をなすことが知られている。ユスリカ科の昆虫についてはすでに私どもが九州南部をふくむ日本のほぼ全土と奄美, 沖縄の諸島について調査をすすめ, その両区に分布する主要種の差についてかなり明らかにしていたので, 今回はトカラ列島について調査を行った。採集は1994年5月18∿20日に鈴木が口之島と中之島において実施し, 捕虫網による水田ないし小川の周辺の草叢などに休息している成虫の捕集と, 夜間のライトトラップによる捕集とを行った。標本は70%アルコールに保存し, 雄成虫を選び出してハネは乾燥で, 胴体はアルカリ液で加熱, 水洗のうえ, 解剖針で分解し, ガムクロラール液につけ, カバーグラスをかけてスライドに封入した。標本の計測法, 記載法などは, 佐々・菊池(1995)の日本産ユスリカ科のモノグラフに解説した方法に従った。その結果, Table 1に示したように合計して266個体の雄成虫が個別標本として固定され, それらは49種に分類された。そのうち24種は日本本土と共通であり, 15種は南西諸島(奄美, 沖縄)と共通で, それらのうち8種は本土と南西諸島とにも共通, 後者のうち7種は南西諸島の特産種が渡瀬ラインを越えてトカラ列島に分布しているものと推定される結果となった。なお, 残りの17種は今回トカラ列島より発見された新種として新たに学名をつけることとなった。
- 日本衛生動物学会の論文
- 1995-09-15
著者
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