二,三の事例からみた緊急時の生理的反応
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概要
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動力車運転士などが,列車運行に支障をきたしたり,人身事故をおこすような緊急事態にであったときの,心拍数・手掌皮膚抵抗値などの変動には,一定のパターンがみとめられた。電気機関車機関士が自殺者をれき過した場合,東海道新幹線電車運転士がトンネル内で,線路上の白布を土砂くずれとおもい非常停車した場合,犬の衝突ショックを人身事故と考えて非常停車した事例,および,東海道新幹線列車集中制御室司令員が人身事故の報告をうけた場合の4事例では,いずれも,心拍数が60∼80から上昇して40∼60秒で120∼140のピークに達し,そののち1∼2分で80∼90に復帰し,のち数十分そのレベルがつづくという一定のパターンがみとめられた。手掌皮膚抵抗値は,精神電気反射の頻発とともに大きく低下し,再びもとにもどるが,数十分間は復帰傾向をみない場合もあった。他方,東海道新幹線電車運転士が早避おくれの作業者を発見し,あやうく触車をまぬがれた一例では,心拍数は一過性に急上昇したが,後影響はみられなかった。 こうした生理的反応のパターンは,緊急事態にともなう情動性の反応と解され,そうした反応のおこり方と,背景にある作業性神経緊張や緊急事態後の行動錯誤との関連について考察した。
- 社団法人日本産業衛生学会の論文
- 1968-07-20
著者
-
遠藤 敏夫
鉄道労研
-
小木 和孝
国際労働機関(ilo)事務局労働条件環境局
-
小木 和孝
鉄道労働科学研究所労働生理研究室
-
斎藤 良夫
鉄道労働科学研究所労働生理研究室
-
遠藤 敏夫
鉄道労働科学研究所労働生理研究室
-
橋本 邦衛
鉄道労働科学研究所労働生理研究室
-
斎藤 良夫
中央大学
-
橋本 邦衛
日大生産工人間工学
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