水生雑草ホテイアオイ(Eichhornia crassipes (Mart.) Solms)の野菜類栽培における緑肥としての有用性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ホテイアオイは熱帯アメリカ原産の帰化水生雑草で世界十大害草の一つであり,富栄養化した湖沼等で旺盛な繁殖をする.窒素やリン,カリウム等の無機成分含有量が多く,また,炭素率が低いことから緑肥としての有効利用が考えられる.著者ら(2001)は,緑肥として施用したホテイアオイから無機化される窒素の動態をイネ栽培試験で〓〓N法により明らかにした.そして,熱帯・亜熱帯地域での稲栽培では,この雑草を堆肥化せずに緑肥として活用できることを提示した.本研究では,稲作で認められたホテイアオイの緑肥としての効果を野菜類栽培においても明らかにしようとした.実験にはレタス,ホウレンソウ,コマツナ,ハツカダイコン,オクラ,エダマメ,トウモロコシを用い,ホテイアオイ施用量を数段階に設定したポット試験で収穫量を比較検討した.その結果.種類ごとに適正施用量は異なるが,何れの野草でもホテイアオイ施用による顕著な増収効果が得られた.このことは,ホテイアオイは収穫や運搬等の問題はあるが,熱帯・亜熱帯地域での野菜類栽培にも活用し得る可能性を示唆するものである.しかし窒素吸収量の少ないレタス,ホウレンソウについては窒素収支からみて窒素投入量が過剰になるために,ホテイアオイ連用による土壌窒素の蓄積ニついて,また,オクラ,トウモロコシ等の適正施用量についても今後検討する必要がある.
- 2003-03-01
著者
-
WIDJAJANTO Didik
鹿児島大学大学院連合農学研究科
-
本村 輝正
鹿児島大学大学院連合農学研究科
-
宮内 信文
鹿児島大学大学院連合農学研究科
-
Widjajanto D
鹿児島大学大学院連合農学研究科
関連論文
- 水生雑草ホテイアオイ(Eichhornia crassipes (Mart.) Solms)の野菜類栽培における緑肥としての有用性
- 12 牛糞と化学肥料の混合堆肥化による新有機質肥料の作成と^Nによる窒素動態の解明(九州支部講演会(その1))
- 20-14 牛糞と化学肥料の混合堆肥化による水稲への窒素吸収率の増加(20.肥料および施肥法)
- 養液栽培条件下でのモリブデンによるトルコギキョウの花色の青色化
- 3 生牛糞多量施用による黒色火山灰土壌の腐植の形態変化(九州支部講演会講演要旨その2)
- 新期火山灰及びしらすから成る地盤の物理化学的性質
- 1. 垂水市光石に見出される,主として桜島噴出物に由来する累積性火山灰土壌断面について
- 施肥窒素形態の差異がモデル水田におけるホテイアオイ(Eichhornia crassipes(Mart.)Solms)の生育および窒素吸収に及ぼす影響
- モデル水田におけるホテイアオイ(Eichhornia crassipes(Mart.)Solms)の生育と窒素吸収に及ぼす施肥濃度の影響
- 水生雑草ホテイアオイ自生群落地の水域環境
- 鹿児島県におけるホテイアオイの生育状況調査
- 13-3 土壌生態系成立に伴う母材(火山灰)粒子の表面構造変化(13.土壌生成・分類)
- 偶感
- クラカタウ諸島の火山性土壌について(熱帯〜暖温帯の黒色及び赤黄色の土壌,1.アンドソルをめぐって-ICOMANDの活動をふまえて-,第24回ペドロジスト・シンポジウム)
- 偶感