西アフリカ諸国の稲作の展開に関係した社会的および気候的要因

概要

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WARDA加盟国におけるコメの全消費量は独立以降1980年代初頭までの20年の間に4倍近くまでに増加した。人口の増加が著しかったことにもよるが, これにはコメへの嗜好性の増大に伴う1人当たりのコメ消費量の増大がより強く関与していた。耕地率が人口密度と密接な相関を示したのに対して, イネ栽培面積率はそれと有意な相関を示さず, 1人当たりのコメ消費量と高い相関を示した。また, 耕地率と年間雨量との間には有意な相関関係が認められなかったのに対して, イネ栽培面積率は雨量の多い国ほど高い傾向にあった。これらの結果から, イネ栽培面積拡大の最大の誘因は伝統的な主食からコメへの転換によって誘導されたコメの需要増大に伴うものであり, 降雨資源の多少がその社会的欲求を気候的に制約していることが推測された。降雨資源の多少はイネの栽培様式にも関係した。降雨量の少ない北部諸国では灌漑水田の割合が高く平均籾収量は幾分か高い傾向にあったが, 収量は不安定であった。一方, 南部諸国では収量の安定性において幾分か勝るものの絶対収量は著しく貧弱であった。
日本熱帯農業学会の論文
1996-06-01