高分子配向法を用いた液晶セルの熱処理による液晶分子配向への影響

概要

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ラビングした高分子配向膜上の液晶分子は, 表面からあるプレティルト角を持って配向する.このプレティルト角は, 液晶デバイスの電気光学特性に大きな影響を与える重要なパラメータの一つである.したがって, 配向膜上でのプレティルト角の発生機構と安定性について充分検討する必要がある.これに関連した研究はいくつか報告されているが, まだ詳細がほとんど明らかにされていない.本研究では, 高分子配向膜の熱処理による高分子の傾斜角および液晶の配向状態の変化を観察し, さらに, 多数の液晶を用い, 熱処理によるプレティルト角の変化を調べた.これらの結果から, 高分子の平均的な傾斜角が, 液晶のプレティルト角の発生に大きく寄与していることがわかった.また, 液晶の種類によるプレティルト角の違いは, 通常行っている液晶セルの熱処理に伴って発生する現象であることを明らかにした.またこの変化は, 液晶の極性が強いほど大きくなることがわかった.このことから, 使用する液晶の極性と熱処理温度を考慮した上で, 液晶セルの熱処理を行う必要があることが示された.
社団法人映像情報メディア学会の論文
1995-12-20