PACAP遺伝子欠損マウスの脳機能変化
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概要
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PACAP(pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide)は1989年にヒツジ視床下部より単離された神経ペプチドであり, 以下ような特徴を有する. 1)1970年代に同定されたVIP(vasoactive intestinal polypeptide)と結合を共有する3種類の高親和性受容体(PAC1, VPAC1, VPAC2)を介してその薬理作用が発揮される. 2)視床下部だけでなく, 大脳皮質や海馬などの脳各部位, 呼吸器系, 消化管, 副腎, 生殖器など幅広い組織に発現が観察される(Table1). 3)膵臓からのインスリン分泌促進や脳海馬における神経可塑性誘導などのホルモン, 神経伝達物質様の作用に加え, 神経突起進展作用や細胞死抑制作用など神経栄養因子様の作用も有する(Fig. 1). 4)pMレベルの極めて低濃度から脳グリア細胞等の種々の細胞の増殖促進作用を示す一方, nM-μMレベルでは逆に増殖抑制作用を示す. 5)PACAPの血中濃度の測定は血中結合蛋白質の存在により困難であり, 生体内で機能するPACAPの濃度は不明である.
- 公益社団法人日本薬学会の論文
- 2004-10-01
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