触覚情報が視覚に及ぼす影響 : 錯視図形と線図形における検討(「手」及びヒューマン情報処理一般)

概要

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本研究は, 視覚健常者を対象とし, 触覚情報がかたちの知覚に与える影響, つまり感覚モダリティ間相互作用について検討した.視覚パターンとして錯視図形を用いた形態マッチング課題と線図形を用いた形態マッチング課題の2つの実験を行った.実験Iでは, 視覚パターンとして湾曲錯視を生じさせるへリング錯視図形とヴント錯視図形を, 触覚パターンとして木の板(なし・凸・平行・凹)を用いた.実験参加者は, 提示された図形がどのくらいの湾曲に見えるかを判断するように求められた.実験IIでは, 視覚パターンとして実験Iで用いた湾曲錯視の主線(湾曲方向が操作された凸・平行・凹)を, 触覚パターンは実験Iと同様の木の板を用いた.実験参加者は, 実験Iと同様に, 提示された図形がどのくらいの湾曲に見えるかを判断するように求められた.錯視図形における検討の結果, 触覚情報がない場合とある場合には有意な差が認められ, また見えはその触覚情報の方向へ偏向するということが示唆された.しかし, 線図形における検討では, 触覚情報が視覚に対して影響を与えなかった.
2005-10-13