知覚ディメンジョンが明るさの同化・対比現象におよぼす影響 : 専門的知識との関連から

概要

論文の詳細を見る
明るさの同化・対比現象においては、色彩などの専門的知識を有する観察者は、2種類の明るさのディメンジョン("brightness" vs."lightness")の区別がつくが、そうでない観察者はこの区別を無視する傾向があることが報告されている(たとえばKanizsa、1979)。専門性による違いはbrightnessとlightnessという知覚的ディメンジョンの違いをもたらすと考えられる。そこで本研究では、専門的知識の程度によって異なると考えられる、この知覚的ディメンジョンによって、明るさの同化・対比現象がどのように影響を受けるのか検討した。実験Iとして、専門的知識の程度が異なると考えられる各実験参加者群に対し、一対比較法とマッチング法を行った。その結果、デザイン工学専攻の学生はそうでない学生と比べて、さまざまなディメンジョンに注目し、対比傾向が強いことが確認された。続いて実験IIでは、専門的知識は低いものの、brightnessとlightnessの区別がついた実験参加者に対し、brightnessとlightnessとに分けて、明るさの同化・対比量を報告するように求めた。その結果、lightness判断を行うと図形を分析的に捉えて対比傾向が、brightness判断では図形を全体的に捉えて同化傾向が強いことがわかった。以上の2つの実験から、専門性の低い観察者は全体視が優位であり、またbrightnessとlightnessの区別がつかないため、結果として同化傾向が増す。一方で専門性の高い観察者は、テストパターンについてより分析的に観察し、さらにlightnessを強調した報告を行うため、結果として対比傾向が増すとまとめることができよう。
日本色彩学会の論文
2005-06-01

知覚ディメンジョンが明るさの同化・対比現象におよぼす影響 : 専門的知識との関連から

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク