水色衛星画像および現場観測による東シナ海のクロロフィルと懸濁物の分布
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概要
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東シナ海においてCZCS(Coastal Zone Color Scanner)およびOCTS(Ocean Color and Temperature Scanner)の水色衛星画像と船舶観測により得られたクロロフィルaおよび懸濁粒子濃度の比較検討を実施した。水色衛星画像から推定される東シナ海大陸棚域表層のクロロフィルa濃度は一年を通じて黒潮域よりも顕著に高く,春季から秋季の期間は船舶観測の値と比較的よく一致していた。一方,冬季の陸棚域(特に水深50m以浅の海域)においては,衛星画像によるクロロフィルa推定値は4〜10mg m^<-3>と高かったのに対し,現場のクロロフィルa濃度は1mg m^<-3>程度の低いレベルであり,陸棚上の広い範囲で高濁度水の出現が認められた。本研究により,季節的な水塊の鉛直混合が盛んな冬季には,海底堆積物の再懸濁の影響が表層まで及ぶため,このような高濁度水が出現すること,この高濁度水が東シナ海において水色衛星画像からクロロフィルa濃度を推定する上で過大評価を引き起こす要因となっていることが示唆された。
- 日本海洋学会の論文
- 2002-03-05
著者
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清本 容子
独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所
-
岡村 和麿
独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所
-
清本 容子
水研セ・西海水研
-
岡村 和麿
(独)水産総合研究センター西海区水産研究所
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岡村 和磨
(独)水産総合研究センター西海区水産研究所
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