東シナ海における粒状懸濁物の分布と輸送過程(シンポジウム:東シナ海の物質循環-MASFLEXの総括)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
MASFLEXプロジェクトの一環として,東シナ海のPN線を中心とした陸棚,陸棚斜面,沖縄舟状海盆,及び隣接外洋域において粒状懸濁物,濁度の分布を調べると共に,セディメントトラップ,濁度計,流速計の短期・長期係留実験を実施した.その結果,クロロフィル,生物起源粒状珪素等の分布から陸棚における植物プランクトンの春季増殖,及び長江沖の高生産力域が明瞭に示された。一方,陸起源粒状珪素,濁度等の分布から,夏季・秋季の陸棚における海底高濁度層の顕著な発達と冬季鉛直混合による内部陸棚域での活発な再懸濁過程が明らかとなった.沖縄舟状海盆の中・深層における粒子フラックスは,陸棚上の季節風変動パターン,台風等との関連が示唆され,陸棚斜面域における粒子フラックスは内部潮汐の影響を大きく受けていることが示された.これらのことから,沖縄舟状海盆の中・深層における粒子フラックスは,海盆表層からの鉛直輸送よりは主に陸棚からの水平輸送によるものと推察された.また,陸棚域における粒子フラックスと基礎生産量との比較から,基礎生産量の5〜20%程度が沈降粒子として有光層下に運ばれていることが明らかとなった.
- 1998-08-25
著者
-
清本 容子
独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所
-
岡村 和麿
独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所
-
清本 容子
水研セ・西海水研
-
岡村 和麿
(独)水産総合研究センター西海区水産研究所
-
岡村 和磨
(独)水産総合研究センター西海区水産研究所
-
井関 和夫
水産庁西海区水産研究所
-
岡村 和麿
水産庁西海区水産研究所
-
清本 容子
水産庁西海区水産研究所
関連論文
- 有明海における透明度の長期的上昇傾向及び赤潮発生との関連
- 有明海奥部と諫早湾における表層堆積物中の有機物の分布と有機炭素安定同位体比
- Validation of ADEOS-II GLI Ocean Color Products Using In-Situ Observations
- 長江流入水が東シナ海の表層塩分・栄養塩濃度に及ぼす影響について
- IV.水産試験研究機関によるモニタリング : 有明海における浅海定線調査(第15回 ジョイントシンポジウム沿岸環境モニタリング,その必要性,可能性,緊急性-関連学会からの提言に向けて)
- GLI海洋プロダクトの開発と利用研究(宇宙応用シンポジウム : ADEOS-II)
- 有明海における溶存酸素分布 (総特集 有明海の環境と生物生産)
- 筑後川懸濁物質負荷の実態と有明海環境への影響
- 筑後川懸濁物質負荷の実態と有明海北部海域環境への影響
- 有明海奥部サルボウガイ漁場における曳航式微細気泡装置による底質改善実験
- 有明海奥部サルボウガイ漁場における曳航式微細気泡装置による底質改善実験
- 東シナ海における粒状懸濁物の分布と輸送過程(シンポジウム:東シナ海の物質循環-MASFLEXの総括)
- 有明海における水質環境の水平分布と経時変化
- 船舶観測と衛星情報からみた東シナ海の水塊配置と濁度分布
- 春季の東シナ海陸棚縁辺部における広域濁度分布
- Particulate flux studies at continental shelf margin using sediment traps
- 東シナ海(海洋生物)
- 春季の東シナ海北緯31°31′線におけるカタクチイワシ卵・仔魚の分布と水系区分
- 水色衛星画像および現場観測による東シナ海のクロロフィルと懸濁物の分布
- 1993年春季の東シナ海陸棚域における濁度の分布と時間変動
- 春-夏季東シナ海における海色衛星を利用した低塩分水の分布変動と大型クラゲ (Nemopilema nomurai) 分布との関係
- 東シナ海(海洋生物)
- 東シナ海(海洋生物)
- 有明海北西部における貧酸素水塊と底質がサルボウの大量斃死に与える影響