(マルチメディア社会における基礎研究のあり方)研究機関における基礎研究存在の条件は?
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概要
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そもそも「マルチメディア(以下、MM)に関して基礎研究が存在し得るのか」については、あると思う。これだけ曖昧な、そして未来に大きな可能性を持つMMに研究的要素がないとは思えない。ただMMの概念や研究の定義は同床異夢(同字異義)的であり、議論がうまくかみ合うか心配である。そのため、若干の定義付けをしておく。MMに関する研究には下記があろう。(α)MM本流の研究:新しいMMの概念やシステムの創成。(β)MMサブシステム研究:既存装置や既存サブシステムの解析や性能向上。(γ)特定目的のない研究:(例)イカの神経系の研究。(δ)普遍化/体系化:偶然得られた成果を深めて、さらに体系化し、大発展につなぐ研究。世の常識では、無目的研究γが最も基礎研究的なのであろうが、私には語る資格がない。本来は、本流の研究αがインパクトが大きく、理想的ゴールであろうが、現実にはどうなるか。なお、普遍化/体系化δも、後述のように、今後意義深いことと思う。ここでは、何らかの形で成果を世に出すことを目的とする研究集団を想定する。そして、(1)そもそも基礎と応用は分離できるのか。(2)基獲研究の成果が最終的に活かされるか。(3)従来型の研究サイクルが可能か。の3点から検討したい。 ただし、これらは相互に原因や結果として関連しており、明確な分離は難しい。併せて最近の米国における傾向も考察したい。なお、話の性格上、やや誇張が入ることをお断りしたい。
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1996-09-18
著者
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