雑音下の視聴覚音声知覚 : 調音位置による違い
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概要
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雑音下での音声聴取に及ぼす口の動きの見えの影響を, 聴覚情報と視覚情報とが一致した刺激と矛盾した刺激の両方について, いろいろなS/N比で調べた。4種類のスピーチ・レベル(65,58,51,44dB)と4種類の白色雑音のノイズ・レベル(56,48,40,32dB)の組み合わせで, 16種類のS/N比を設定した。刺激は, 1人の日本人話者が発音した10個の単音節(/ba/,/da/,/ga/,/pa/,/ta/,/ka/,/ma/,/na/,/wa/,/ra/)から作成し, 聴覚(A)のみ, 視覚(V)のみ, 視聴覚(AV一致・AV矛盾)の3条件で64人の被験者に呈示し, 音韻判断を求めた。その結果, 視覚情報の影響は, スピーチ・レベルにかかわりなくS/N比が低下するにつれて増大したが, 刺激の調音位置によって影響の程度は異なった。聴覚刺激が唇音(/ba/,/pa/,/ma/,/wa/)で視覚刺激が非唇音の場合にはマガーク効果が強く生じるが, 聴覚刺激の調音位置が後ろになるにつれて, 矛盾した視覚刺激の影響は弱くなった。これらの結果は, 唇が閉じるか閉じないかによって視覚刺激が提供する情報の質が異なること, 母集団の大きい歯茎音への反応バイアスがあることなどによって説明されると考えられる。
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1999-07-09
著者
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