顔と声による音声知覚 : 視聴覚情報の相互作用
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概要
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音声、すなわち人の話し声を聞く際、話し手の顔がもたらす視覚的な調音情報(読唇情報)が音声知覚に関与することが知られている。このような視覚情報の影響を示す例として、マガーク効果(McGurk & MacDonald, 1976) という視聴覚融合現象があり、近年関心を集めている。ここでは、読唇情報の特徴について述べ、マガーク効果についての心理学的知見を概観した後、マガーク効果の生じ方が被験者の母国語・文化や第2言語の習熟度によって異なるようすを紹介する。3つの言語群で比較したところ、日本人・中国人はアメリカ人披験者よりもマガーク効果が弱く、聴覚重視の音声知覚様式を示した。また、留学生を披験者とした実験では、外国滞在期間が長いほどマガーク効果が強い傾向がみられ、第2言語の習得過程で読唇情報を積極的に利用するようになることが示唆された。また、マガーク効果が起こりやすい話者と起こりにくい話者とで顔と声を入れ替えた実験から、聴覚情報の明瞭さと視覚情報の明瞭さの両方がマガーク効果の大きさに影響を及ぼすこと、2つのうち聴覚情報がどちらかといえは強くマガーク効果を規定するらしいことが示された。
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1997-11-20
著者
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