視覚的誘導性の自己回転感覚の下での視標に向かう急速眼球運動の偏り
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概要
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一般に自己運動の最中ではヒトの運動知覚は静止時に比較して劣化していることが知られている.このような動き知覚の劣化が, 現実の回転運動ではなく視覚的に誘導された自己回転運動感覚(circularvection)の下でも生じているか否かを調べることにした.その前段として直接に動き知覚を測定するのではなく, 周辺にジャンプする視標を追跡するサッカードの正確さを調べたところ, 自己回転感覚の方向に依存した特異な振幅の変化を見出した.すなわち, 自己の正面から自己回転感覚と同方向の周辺で瞬時点滅した視標を追跡するサッカードの振幅はノーマルであるが, 逆方向で瞬時点滅した視標に向うサッカードの振幅は平均して約10%短くなっていた.一般論として自己運動があれば知覚の正確さを損なうであろうし, これがサッカードの振幅を不正確にすることは予測されるのであるが, このように非対称な過小振幅特性が何に由来するか, 今後さらに検討を深めねばならない.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1998-03-19
著者
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藤田 昌彦
郵政省通信総合研究所
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藤田 昌彦
郵政省通信総合研究所:電気通信大学大学院情報システム学研究科2
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藤田 昌彦
郵政省通信総合研究所情報通信部人間情報研究室
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藤田 昌彦
電気通信大学大学院情報システム学研究科
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星規 久美
東京工科大機械制御工学科
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