学習時定数の違いによっておきる海馬と新皮質の記憶における機能分離のモデル
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
脳に関する多くの臨床例・脳の破壊実験から,高等動物の記憶行動には脳の海馬とその周辺が重要であると言われる.本研究は,脳の記憶を海馬とそれをとりまく複数の領野がかかわるシステムの動作としてとらえ,行動・生理のデータを考慮した記憶形成のモデルを提案する.本モデルでは,記憶の基本要素として細胞群の閉回路を想定し,その細胞群の高頻度発火によりシナプス変化による長期記憶が形成されるとする.その時定数が新皮質と海馬で大きく異なることにより,新皮質での短期記憶,海馬での中期記憶,更に新皮質での長期記憶の保持の特性が得られる.また本モデルでは,海馬と新皮質の間に統合層を設け,海馬には早い連合機能を,統合層には記憶の直交符号化の機能をもたせた.統合層・海馬への外部からの制御により,記憶・想起・符号化の探索の機能を実現できた.コンピュータシミュレーションの結果,記憶障害の臨床例や動物の生理実験のデータを説明し得るモデルの動作が得られた.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1994-09-25
著者
-
大森 隆司
東京農工大学工学研究科
-
大森 隆司
東京農工大学 生物システム応用科学研究科/新技術事業団さきがけ研究21
-
大森 隆司
東京農工大学工学部電子情報工学科
-
大森 秀樹
(株)コルグ
-
大森 隆司
東京農工大学
関連論文
- 短-中-長期記憶形成モデルにおける海馬周辺領野のDynamicsについて
- 会話的相互作用から得られる報酬にもとづいたインクリメンタルな単語概念の獲得
- 会話的相互作用からえられる報酬にもとづいたインクリメンタルな単語概念の獲得
- 連続時間ダイナミクスをもつ連想記憶によるマルチモーダル情報処理
- 状況に依存してマルチモーダル情報の選択が可能な連想認識モデルによる音声認識
- 遅延見本あわせ課題の脳内プロセスの Neural Network モデル
- 脳におけるシンボル処理のモデルとその計算能力について
- 行動学習における負の強化の検討
- 連続信号からの離散地図の自己組織化と類似探索に基づく移動ロボットの行動計画の研究
- 階層的記憶のモデルとニューラルネットワーク
- Matchable状況分解に基づくMulti-module強化学習による移動ロボットの経路探索
- ネットワーク分散型移動ロボット実験システム
- 移動ロボット実験用システム
- 強化学習における適応的状態空間構成法
- SD-2-4 ネオコグニトロンを用いた画像理解システムのパラメータチューニング
- 大規模並列計算システム上での画像理解に向けてのネオコグニトロンの性能予測
- 一般化Hopfieldモデルについて
- ノイズ駆動型神経回路網モデルにおける時間パターン生成の解析
- 選択的注意と記号知識とハイブリッドによる重なり図形の領域分割
- J. Elman, et al「認知発達と生得性—心はどこから来るのか—」
- 強化学習における分割による自律的状態空間構成法
- 学習時定数の違いによっておきる海馬と新皮質の記憶における機能分離のモデル
- 神経回路網国際会議
- 脳の認知過程としての記憶モデル(ニューラルネットワークと認知科学)
- 動的n-k最近接近傍法による画像のスムージング
- PATON:動的神経回路網モデルによる概念学習
- エッジの向き, 運動方向, 速さを自己組織的に抽出する視覚系モデル
- 記号とパターンの統合による画像理解のための一方式
- 記号とパターンの統合による画像理解のための一方式 : パターン的な知識と記号的な知識の相互変換
- 海馬閉回路における抑制性細胞の役割
- 記憶モデルPATONによる視覚探索のシミュレーション
- PATON : 文脈依存性を表現する動的神経回路網モデル
- A robot with a learning visual information processing.