階層的印刷漢字認識システムにおける字種を複数クラスタに登録する辞書構成法

概要

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認識対象の多い漢字認識では,処理の多さが問題となる.以前より,漢字認識の処理量低減の方法として階層的認識システムが有効とされている.階層的認識システムでは,認識の最終段階において候補字種が少数個に絞られるために,各種統計的手法の導入も容易になることが知られている.しかし,一般的には,そのまま階層的認識システムを用いたのでは,総当り識別に比べ識別率が低下してしまう.そこで本論文では,クラスタリング手法の一つであるk-means法により構成した辞書に対して更に,同一字種を複数のクラスタに存在させる「辞書拡張法」を提案し,これにより階層的認識システムにおける識別率の低下を防ぐことができることを報告する.また,拡張法として各種の手法を検討した結果,効率の良い手法として部分空間拡張法を提案する.これによりETL-2教育漢字881字種中より不良字種を除いた811字種の印刷漢字,2フォント162,200文字を対象に階層的認識システムを構成し,実験を行った.今回の認識システムでは,総当りによる識別と比較して,識別率を向上させると同時に処理量を約13%に低減することができた.
社団法人電子情報通信学会の論文
1995-06-25