100. 慢性肝炎進展過程における肝細胞プロイディの変化 : 正常加令との対比

概要

論文の詳細を見る
演者らは, 第17回本学会において, ヒト肝細胞プロイディの加令に伴う変動, および慢性肝炎進展過程における, その変化について報告した。今回, さらに症例を増やし, 詳細に検討すると共に, プロイディの変化と関連の深い肝細胞の再生増殖動態についてもあわせて検索した。方法は生検肝組織片を用いて, ^3H-サイミジンのin vitro標識法によるオートラジオグラフィー, および単離肝細胞塗抹標本を用いた, フォイルゲン-DNAの落射式顕微蛍光測光法によった。その結果, 正常ヒト肝細胞では増殖活性は低いが, しかし加令と共に着実にポリプロイド細胞の増加が認められた。また, 一方, 慢性肝炎進展過程では, 肝細胞の傷害が持続すると共に, 増殖活性は持続性に亢進し, その結果として, 若年者においても肝細胞にポリプロイド化という, 正常の加令で見られたと同様の変化が起り, プロイディ・パタンの面から見た肝細胞の老化が加速されると結論された。
日本組織細胞化学会の論文
1978-11-01