59. 無菌および通常マウス肝における肉芽腫構成細胞の内在性ペルオキシダーゼ局在の電顕細胞化学的観察

概要

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マウス、ラットなどの肝類洞壁のkupffer細胞は、酸フォスファターゼのようなlysosome系酵素の強い活性を示すばかりでなく、粗面小胞体(rER)内にベルオキシダーゼ(Pox)保有する"monocytic phagocytes"系の細胞であることは衆知の事実である。このような酵素細胞化学的特性を指標として、無菌および通常マウスにサルモネラ菌を感染させた場合の肝類洞壁Kupffer細胞(K-細胞)の動態を観察した。無菌マウスでは、サルモネラ菌感染後5日には, 通常マウスの場合と比較し、遥かに顕著なK-細胞の増生を認め、14日目には、拡張した類洞にK-細胞は集塊をなして存在し, 所によっては所謂"typhoma"(肉芽腫)形成を見る。後者では、肉芽腫形成は明らかに少く、肝における肉芽腫形成にK-細胞増生が要因となっていることがうかがわれる。しかし、一方肉芽腫構成細胞を詳細に観察すると、Pox陽性のrERを持つK-細胞にtrapされるように、単球、リンパ球、さらに顆粒球も認められる。サルモネラ菌感染防御におけるK-細胞の機能、さらに肉芽腫形成の機構などについて考察を加える。
日本組織細胞化学会の論文
1977-10-20