妊娠現象における免疫機能に関する研究リンパ球subpopulationに関与する子宮因子の機能について

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妊娠時母体末梢血におけるリソパ球subpopulationの変動に関与する子宮因子の機能を解明する為に,妊娠9週から16週までの筋腫等の合併症の為手術を行なつた妊婦の末梢血及び子宮静脈血を採取し,E-rosette法及びS-Ig法によりT-cell及びB-ccllの分別を行なうと共に,PHA及びPWMによる幼弱化現象の検討を行なつた.さらにT-cell羊赤血球reeptorへのmasking現象解明のため,分離リソパ球をさらに5回洗篠またはmitogenを除去せる培養系で72時間培養後E-rosette法によるT-cellの分別を行なった.以上の検索により下記の結果を得た.1)E-rosette法によるT-ccllの分別では,子宮静脈血では55〜62%平均57.4%,末梢血では62%〜85劣平均73.6%と子宮静脈血でのあきらかな低下が認められ,T-cell発現率低下に関与する子宮因子の存在が推定された.2)S-Ig法によるB-cellの発境率は子宮静脈血では13%〜22%平均18.4%,末梢静脈血では13%〜20%平均16.8%であり両者間に特に差を認めなかつた.3)PHAによる幼弱化率の検討では,子宮静脈血では55%〜66%平均63.1%,末梢血では52%〜78%平均65.6%で両者間に差を認めなかつた.PWMによる幼弱化率も子宮静脈血末梢血間に有意の差を認めなかつた.4)masking現象の解明のため分離リンパ球の洗滌または72時間培養後に再びE-rosette法を行なつた実験では,子宮静脈血では57.4%より81%,末梢血では73.6%より82%と共に洗滌後にT-cellの発現率が上昇し,また洗滌後では子宮静脈血末梢血がほぼ類以の値を示した.洗滌等の操作前のT-cell発現率の低下は何らかのfactorによるmasking現象であると考えられる.以上の事から,妊娠時,特にそのIst trimesterにおけるT-cell発現率の低下は,masking現象による見せかけの減少であり,子宮因子により惹起されているものと推論しえた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1980-05-01

妊娠現象における免疫機能に関する研究リンパ球subpopulationに関与する子宮因子の機能について

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