粘液産生肺腺癌の臨床病理学的検討 : 気管支腺型腺癌切除例について

概要

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過去19年間に経験した気管支腺型肺腺癌切除例について臨床病理学的に検討した.発生頻度は, 腺癌443例中25例(5.6%)で, 男性10例, 女性15例であった.発生年令では若年者が多く, 平均53.7才であった.喫煙率は56%であった.自覚症状は, 12例(48%)に認められた.IV次気管支までに発生したいわゆる肺門型は6例, 残りの19例は末梢発生例であった.術後の病理病期は, I期4例, II期2例, IIIa期8例, IIIb期6例, IV期5例とIII期以上の進行癌例が多かった.リンパ節転移は, 検索例24例中18例(75%)に認められた.手術々式は全摘9例, 二葉切除1例, 一葉切除14例, 部分切除1例で, 合併切除が8例もあった.再発例では, 局所再発は肺内や心膜に, 遠隔転移では骨, 脳, 肝などにみられた.気管支腺型腺癌25例と性, 年齢, 病期をほぼ一致させたクララ細胞型或いは, 気管支表面上皮型腺癌切除例75例と予後を比較した.5年生存率は各々44.5%と20.9%で, 気管支腺型腺癌の方が予後が良好であったが, 有意差を認めなかった.気管支腺型腺癌は, 粘液産生腺癌でも杯細胞型腺癌とは異なった臨床像, 病理像を示す.
日本肺癌学会の論文
1992-12-20