筋収縮力空間上の調音軌道に基づく母音生成機構のモデル
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概要
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母音生成機構のモデル化を目的として, 舌筋の収縮力ベクトルより母音発話の運動表象を再構成することを試みた。主要外舌筋から記録された米語の11母音を含む単語発話時の筋電図を分析に用いた。四つの外舌筋は機能的に2組の拮抗筋の対をなし, 各対は互いに直交する軸を持つ。この関係に基づき, 収縮力の釣り合いの時間的推移を筋収縮力空間上の調音軌道として描出した。得られた調音軌道は舌の運動パタンに類似する曲線を描き, 調音軌道上の母音の目標点は, ホルマント空間上の母音分布とおおむね一致することが認められた。このような母音生成過程における運動表象と聴覚表象との単純な対応関係に基づいて, 生成と知覚との結合を考慮した音声生成機構の概念モデルを提案した。
- 社団法人日本音響学会の論文
- 1998-04-01
著者
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