前立腺上皮細胞におけるサイトケラチンの免疫組織化学的検討
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概要
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(目的)前立腺上皮に対し,3種類の抗サイトケラチン抗体(34βE12,35βH11,RCK108)を用いた免疫組織化学的な検討を行った.基底細胞に特典的に染色される抗サイトケラチン抗体(34βE12)については,様々な前立腺病変に免疫組織化学染色を行い評価した.(対象と方法)対象は生検あるいは手術療法により採取した前立腺組織131例である.前立腺病変はH-E染色にて前立腺肥大症(BPH),前立腺癌(PCA),atrophic acini,atypical adenomatous hypcrplasia(AAH),prostatic intraepithdial neoplasia(PIN)に分類した.これらの前立腺病変にたいして3種類のサイトケラチン抗体を用いた免疫組織化学染色をABC法あるいはLSAB法を用いて行い評価した.(結果)BPHでは,35βH11は主に分泌細胞に染色が認められ,RCK108は分泌細胞,基底細胞共に染色が認められた.PCAでは,35βH11はいずれの腫瘍分化度にも高い染色性を認めたが,RCK108は腫瘍分化度が低くなるほど染色性は低下した.34βE12は基底細胞のみに染色され,分泌細胞や癌細胞には染色されなかった.34βE12での免疫化学染色において,BPHではほとんどの症例で陽性を示したが,PCAでは陽性症例は認められなかった.また,atrophic acini,AAHは,BPHと同様な陽性染色を示したが,high-grade PINでは断続的な染色性や陰性症例が多くみられた.(結論)前立腺肥大症の分泌細胞においては,35βH11,RCK108とも強い染色性を認めた.前立腺癌細胞では,RCK108は腫瘍分化度が低くなるほど染色性が低下する傾向が認められた.34βE12陽性であれば良性前立腺病変を強く示唆することになり,病理診断の補助手段となり得ると考えられた.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 2001-07-20
著者
-
根本 則道
日本大学病理学部門
-
岡田 清己
日本大学医学部泌尿器科講座
-
岡田 清己
公立阿伎留医療センター
-
岡田 清己
日本大学泌尿器科
-
山中 弥太郎
日本大学医学部付属練馬光が丘病院泌尿器科
-
岡田 清己
日本大学医学部泌尿器科学系泌尿器科学分野
-
山中 弥太郎
日本大学医学部附属練馬光が丘病院泌尿器科
-
根本 則道
日本大学病理学教室
-
石山 肇
日本大学医学部泌尿器科学教室
-
山中 弥太郎
日本大学医学部泌尿器科学教室
-
根本 則道
日本大学病理
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