両側腎細胞癌に対するnephron sparing surgery : 術中超音波検査,argon beam coagulatorおよびfibrin glueの利用

概要

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(背景と目的)1993年11月より1995年3月の間に両側腎細胞癌5例(同時発生3例非同時性2例)に対し,術中超音波検査,argon beam coagulatorおよびfibrin glueを利用してnephron sparing surgeryを行い,その有用性を検討した。(対象と方法)同時発生の3例中2例には両側に,計7腎に対して行った。うち6腎は腎部分切除,1腎に腫瘍核出術を施行した。(結果)術中超音波検査を行いsatellite lesionのないことを確かめた後,腎茎部の露出,血流の遮断ののち,凍結Lactate riger液による腎の表面冷却を行った。阻血時間は20〜78分,平均58分であった。腎の切断面に対しては原則として主要な血管断端のクロミックカットガットによるfigure eight sutureの後にargon beam coagulatorでの焼灼を行い,fibrin glueを塗布した。脂肪組織を切断面にあて,これをマットレス縫合にて固定し,少量のfibrin glueを縫合部に塗布した。1腎の手術後に尿漏を認めたが手術後に重篤な合併症はなく,腎機能も良好に温存された。(結論)腎保存手術には術中超音波検査,超音波吸引器,アルゴンビームコアギュレーターおよびフィブリングルーの使用は有用と思われ,本手術の適応の拡大にも寄与するものと思われた。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1996-04-20