泌尿器科癌化学療法に伴う末梢血CD34陽性細胞の変化ならびに末梢血幹細胞採取時期の検討

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(目的)泌尿器科癌化学療法後に末梢血中に動員される造血幹細胞の変化を検討し,効率の良い末梢血幹細胞採取時期の検討を行った。(対象と方法)12例の泌尿器科癌化学療法後のCD34陽性細胞比率の変化を検討した。また末梢血幹細胞採取を行った6例のCD34陽性細胞比率ならびgranulocyte-macrophage colony-forming units(CFU-GM)数を用いて,効率的な末梢血幹細胞採取時期を検討した。前立腺癌全身骨転移の2例で採取標本中の癌細胞混入の有無を検討した。(結果)末梢血中のCD34陽性細胞比率は骨髄抑制の強い症例に高い傾向を認め,化学療法後15日目から31日目に最高値になった。末梢血幹細胞採取時期に関しては,化学療法後16日目頃から採取することにより,良質な末梢血幹細胞が採取できた。CD34陽性細胞比率とCFU-GM数の間には良好な相関を認めた。2例の癌細胞の混入の検討では,1例で採取標本中にprostate-specific antigen mRNAの発現を認めたが,他の1例では認めなかった。また,混入例でも化学療法の施行回数が進むに従い混入量は減少した。(結論)通常の化学療法後に計画的に末梢血幹細胞採取を行えば,特殊なcytotoxic mobilizationを行うことなく,患者の治療を滞らせることなく末梢血幹細胞の採取が可能である。また,今後,骨髄転移を有する症例の癌細胞混入に関する検討も必要と思われるが,現時点では,骨髄転移症例で末梢血幹細胞移植に使用される末梢血幹細胞は,十分量が採取されていれば,化学療法施行回数のより進んだ時点で採取されたものから使用した方が良いと思われた。
1996-10-20

泌尿器科癌化学療法に伴う末梢血CD34陽性細胞の変化ならびに末梢血幹細胞採取時期の検討

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