頻回再発を繰り返す腫瘍の再発危険因子と, 悪性進行をきたす軽度異型を有する腫瘍の特徴 : 表在性膀胱癌154例の分析

概要

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表在性膀胱癌の再発を規定する因子及び,軽度異型癌の異型度/病期悪性進展を規定する因子を同定するために,154例の表在性膀胱癌の臨床・病理学的解析を試みた.分析にあたっては時間的経過を重視し,初回再発の危険因子同定とともに,2回目以降の再発規定因子の同定も試みた.検討因子としては,腫瘍個数,サイズ,形態,異型度,深達度,随伴病変の有無,発生部位,再発回数,再発間隔を選んだ.初回再発を規定する因子は腫瘍個数,腫瘍サイズ,異型度,深達度であった.2回目の再発を規定する因子は初回時と異なり,異型度とサイズであり,腫瘍個数は特に意味を持たなかった.1回以上腫瘍再発をきたした113人のうち,初回の腫瘍が軽度異型(grade 2以下)であり,異型度の進展,または病期の進展の判定が可能であったのは57人であった.そのうち,19人(33%)が異型度の進展または,病期の進展を来した.これらの進展に関わる危険因子としては,腫瘍のサイズ,再発間隔が重要で,初回腫瘍の最大サイズが1cm以上の42%に,また再発間隔が次第に短くなって来る症例に,このような悪性進展癌を来しやすかった.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1993-06-20