前立腺全摘除術に対する経直腸的超音波検査とSeXtant systematic core biopsyの意義と有用性

概要

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(背景と目的)前立腺全摘除術に際して,sextant systematic core biopsyならびに経直腸的前立腺超音波検査(TRUS)の意義と有用生を検討した。(方法)前立腺全摘除術を受けた52症例のstep sectionとcore biopsyやTRUSの所見との比較検討を行った。(結果)ホルモン療法を受けなかった34症例では,比較的正確に病巣の分布が表現されていた。他院で癌と診断されホルモン療法を受けたあとに当センターを受診した18例のなかで,6例ではがんが証明されなかった。2例では摘出標本で癌がほとんど消失していたが,残りの4例では癌がtransition zoneから尿道に存在したため,false negativeとなったと考えられた。生検のcoreの1本にのみ癌が証明された症例が6例あった。また4例に高分化腺癌が証明された。腫瘍のmapping,Gleason score,PSA値,pTなどを考慮すると,これらは治療の対象となる臨床癌であると思われた。TRUSより得られた情報が,前立腺全摘除術を施行する上で有益な情報となりうるか検討した。TRUSの判定では内部構造の破壊に特に注意をはらった。この結果,神経血管束浸潤に対してはsensitivityは94.7%,positive predictive value 78.3%,negative predictive value 90.0%であった。一方,精嚢浸潤についてはsensitivity 75.0%,positive predictive value 50.0%,negative predictive value 90.9%であった。(結論)現在のsextant biopsyではtransition zoneに存在するがんを見逃す可能性があり,現在の6箇所生検に追加してtransition zoneからも標本を採取するか,意図的にこの部分を生検することが必要であると考えられた。TRUSとcore biopsyでの存在部位を考慮することで,膀胱側や精嚢でのより確実なsurgical marginの確保が可能となると思われた。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1997-04-20

前立腺全摘除術に対する経直腸的超音波検査とSeXtant systematic core biopsyの意義と有用性

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