尿路癌患者におけるカテプシンB様物質の検討
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概要
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リソゾーム酵素の1つであるカテプシンBについて尿路癌患者の尿中活性および組織学的局在を調べ、その意義について検討した.尿中活性の測定は対照群41例、腎細胞癌群53例、尿路上皮癌群22例について、カテプシンB特異的基質であるZ-Arg・Arg-MCAを用いたエンドポイント法で行った.組織学的局在は腎細胞癌20例、膀胱癌59例、腎孟尿管癌20例について羊抗ヒト肝カテプシンB抗体を用いた酵素抗体間接法による免疫組織染色法で行った.尿中カテプシンB様活性は腎細胞癌患者および尿路上皮癌患者では対照群に比較し、有意に高い活性を示した(p<0.01)が、腎細胞癌患者と尿路上皮癌患者の比較では有意差は認められなかった.免疫組織染色による検討では腎細胞癌の90%、腸胱癌の63%、腎孟尿管癌の70%にカテプシンB染色が陽性であった.腎細胞癌ではカテプシンB染色性と病理所見、予後とは相関を示さなかった.膀胱癌においてはHigh stageの症例、腎孟尿管癌ではINFγ、主要臓器転移のある症例ではカテプシンB染色性が高く、染色性が高度の症例の予後は不良であった.以上の結果より、尿路癌患者の尿中にはカテプシンB様酵素活性が存在し、免疫組織染色法による検討から腫瘍細胞での産生が確認でき、尿路上皮癌においてはその組織学的染色性が腫瘍の浸潤能・転移能を反映し、高度の染色性は予後不良を示唆する1つの因子と考えられた.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1993-02-20
著者
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