進行性尿路上皮癌に対するmethotrexate, vinblastine, adriamycin, cisplatin (M-VAC)療法 : 治療効果および副作用の解析
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概要
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Methotrexate,vinblastine,adriamycinおよびcisplatin併用のM-VAC療法を施行した77例の進行性尿路上皮癌のうち,65例を治療効果,74例を副作用の評価対象とした。病変部位別の奏効率は,原発巣65%,リンパ節68%,肺60%,肝14%,骨が25%であった。奏効度はCR11例,PR26例,NC15例,PD13例で,総合奏効率は57%(95%信頼限界45〜69%)であり,奏効期間の中央値はCR例が11ヶ月,PR例が7ヵ月であった。長期的には奏効例と無効例の生存率に差は認められなかった。Neoad-juvantchemotherapyとして本療法を行った15例のうち,奏効例で臓器温存が可能であった症例は6例であり,組織学的治療効果度および総合奏効度別に生存率に有意の差は認められなかった。組織型が移行上皮癌で,薬剤の全身投与が行われた54例を対象とした解析では,M因子が奏効度に影響を及ぼす重要な要因であることが示された。副作用のうち,第1サイクルで1.000/mm^3以下の白血球数減少は22%に認められたが,血小板数減少の程度は軽く,中毒症状は耐容の範囲内であった。また高度の白血球数減少に関与する要因は放射線療法の既往の存在であった。M-VAC療法の総合奏効率は高いが,骨および肝転移巣に対する効果が低く,奏効期間が短い点が問題である。またM-VAC療法のneoadjuvant chemotherapyとしての意義は明らかではなく,本療法が進行性尿路上皮癌の長期予後の改善に寄与していることを示唆する結果は得られなかった。
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1991-10-20
著者
-
碓井 亞
広島大学医学部泌尿器科学教室
-
井川 幹夫
中国・四国泌尿器科悪性腫瘍研究会
-
上田 光孝
広島大学 泌
-
上田 光孝
広島大学 大学院医歯薬学総合研究科創生医科学専攻先進医療開発科学講座腎泌尿器科学
-
嘉手納 一志
国立福山病院 泌尿器科
-
大口 泰助
小畠病院泌尿器科
-
井川 幹夫
広島大学医学部泌尿器科学教室
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上田 光孝
広島大学医学部泌尿器科学教室
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嘉手納 一志
広島大学医学部泌尿器科学教室
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大口 泰助
広島大学医学部泌尿器科学教室
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嘉手納 一志
国立福山病院泌尿器科
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碓井 亞
広島大学医学部泌尿器科
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