尿路系悪性腫瘍とHLA抗原(第1報)

概要

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我々は,腫瘍に対する感受性或いは低抗性の強弱を探る目的で,尿路***系腫瘍87例において,HLA抗原(A Locus 17, B Locus 28, C Locus 4)の測定を行なつた。結果は次の如くである。(1)尿路上皮系腫瘍では,B8及びCW2が有意に高頻度で出現した。(2)尿路上皮系腫瘍において,nonpapillary(invasive)とpapillary tumor,及び腫瘍死群と然らざるものに,それぞれ分類し,両者のHLAの各抗原の出現頻度を比較したところ,non-papillary(invasive)群と腫瘍死群で,B7が高頻度にみられた。このことは,B7保有者が腫瘍に対する低抗性が弱いことを示唆している。以上の結果を臨床上に応用するには,まだ症例数が十分とはいえない。将来,症例数が増えて,しかも同じ傾向がみられるならば,HLA抗原は腫瘍のmarkerとして,早期診断,あるいは治療方針決定に大いに役立つものと思われる。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1982-08-20