語りを誘発する学習環境のエスノグラフィー
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
近年の学習環境論において学習者自身が学習過程の再吟味を行うことの重要性が主張されている.本論文の目的は,学習過程を重要視する学習環境のデザインと,それが学習者にもたらす変容を明らかにすることである.研究方法としては,「エスノグラフィー(ethnography)」を採用する.より具体的には,ある学習環境における空間配置・学習材・ストラテジ- (strategy)の3つの学習活動を構成する「リソース(resource)」について考察を加える.それをふまえた上で,他者に対する学習過程の内省的認知活動である「語り(Narrative)」とそれらリソースとの関係を論じる.上記の認知活動は,研究対象の実践において特異に観察された.「語り」は,3つのリソースが「協調(coordination)」して構成される内省的な認知活動である.学習者にとっての「語り」の教育的効果は,学習そのものをどう定義するかという認識のレベル-「メタ学習観」の転換・変容に存在する.以上の議論をふまえ,学習活動支援の方法としての「語り」を概観し,「語り」を誘発する学習環境のデザインについて本稿からの示唆を述べる.
- 日本教育工学会の論文
- 1999-06-20
著者
関連論文
- KJ-E1 高等教育機関におけるポートフォリオ作成の意味
- 成人のための情報教育講座の評価(2) : 講座における参加者の学習について
- 成人のための情報教育講座の評価(1) : 研究背景と評価手法の提案
- テレビ会議システムの利用による学校間交流学習の実践的研究
- コンピュータによる協調学習支援システムに関する研究
- コンピュータによる協調学習支援システムに関する研究
- 語りを誘発する学習環境のエスノグラフィー
- 苅宿実践における学習活動の分析 : 学習プロセスの Narrative を促進する学習環境
- 高等教育における遠隔学習を支援する CSCL 環境の開発(3) : 討論型授業の教材の開発と試行
- 高等教育における遠隔学習を支援する CSCL 環境の開発(2) : 議論を通した協同的な問題解決を支援する環境の開発
- 高等教育における遠隔学習を支援する CSCL 環境の開発(1) : 社会的背景と研究のコンセプト
- 教師の学習共同体としての CSCL 環境の開発と質的評価
- 教師の学習共同体としてのCSCL環境の評価 : 教師の相互作用と内省に注目して
- プロジェクトベースの共同研究における研究者と実践者の関係について : 湧源サイエンスネットワーク(YSN)明正プロジェクトにおける質的研究を事例として
- 議論を通した共同的な問題解決を支援するCSCL環境の開発
- 「学習環境」概念の再検討 : 苅宿実践のエスノグラフィーを通して
- 質的アプローチによる授業実践研究における研究者と教師の共同性