湖成デルタの堆積物と形成過程 : 琵琶湖愛知川デルタを例として

概要

論文の詳細を見る
愛知川デルタは幅約2kmの非対称なカスブ状デルタで, 波浪の影響が比較的大きいため, 沿岸は砂質堆積物に富み, 沿岸州列が形成されている。デルタ堆積体は, 厚さ約14mで, 堆積相および珪藻化石群集の解析から, 上中下に3分される。下部は厚さ6m以下の内湾的な砂質堆積物からなる;主部は厚さ10mほどの上方粗粒化シーケンスで, 下位からプロデルタ, 泥質および砂質デルタフロント, 河口州, ビーチ相からなり, 砂質堆積物には波浪や洪水の影響が見られる;上部は河川や氾濫原堆積物などからなり, 上流側ほど厚い。^<14>C年代, テフラおよび花粉化石帯から時間面を求めると, 層相区分と斜交し, 河道方向の成長速度は平均3m/年で, 形成開始から水面は相対的に約6m上昇したこと, 成長とともにデルタフロントの傾斜が増大したことなどがわかる。また, 河口州とデルタフロントの砂質堆積物は, 粒度分布, 孔隙率, 浸透率からみて, 良好な貯留層特性を示している。
日本地質学会の論文
1990-11-30