西南北海道渡島福島地域の第三紀火山岩類の岩石学的検討

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西南北海道渡島福島地域に広く分布する前〜中期中新世火山岩類について岩石学的検討を行なった。前期中新世福山層中の火山岩類は,玄武岩〜流紋岩質の溶岩および火山砕屑岩からなり,火山弾や溶結凝灰岩が認められることから陸上火山活動によるものと考えられる。これらの火山岩類は一般に,アルカリ成分に富む。玄武岩はアルカリ岩系列に属し,P_2O_5,TiO_2,HfおよびLREEに富み,Th/Hf比が低い。Ti0_2に富み,Th/Hf比の低いアルカリ玄武岩は,島弧におけるアルカリ玄武岩には認められず,大陸地域のアルカリ玄武岩に類似する。中期中新世訓縫層中の火山岩類は,主として安山岩質ハイアロクラスタイトよりなり,K_20に乏しくソレアイト系列に属する。このlow-KソレアイトはNa_20,Ti_O2およびLREEに富み,第四紀火山の鳥海帯にみられるソレアイトとは明瞭に区別される。以上から本地域の前〜中期中新世火山岩類は,第四紀の島弧火山岩類と異なる性質を示し,特に前期中新世火山岩類は大陸地域における火山岩に類似する。この福山層火山岩類と類似の化学組成を持つ火山岩は,同時期の日本海周辺地域にも認められる。日本海盆は,古第三紀末期から鮮新世にかけて形成されたと考えられており,本地域の火山岩類は日本海盆の発生に密接に関連した火山活動による産物と考えられる。
1984-11-30

西南北海道渡島福島地域の第三紀火山岩類の岩石学的検討

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