日本列島の先カンブリア基盤岩としてのオーソコォーツァイト岩

概要

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若い造山帯のなかに先カンブリア代の岩石が存在するかどうかは重要な問題で,日本列島においても古くから議論されてきた。オーソコォーツァイト礫は1967年以降,日本の各地から発見されるようになり,その層準は石炭系から第四系に及ぶ。これらの組成的および組織的な特徴は大陸地域に広く発達する石英質砂岩に比較され,日本列島の地史を考慮すると,これらが先シルル系,おそらく先カンブリア系に由来するものであることが推定される。このことはオーソコォーツァイトの年代測定資料からも支持される。一般的にオーソコォーツァイト礫の産出は,量的に非常に少なく,径も小さいが,いくつかの地域では礫種構成の主要なものであり,径も数10cmに達することがある。これらの地域での産出を堆積学的に検討すると,再堆積と推定される場合も多いが,近くに存在した基盤岩類に由来すると考えるのが自然である。すなわち,阿武隈山地においてはオーソコォーツァイト様岩を含む丸森変成岩の分布域,北上山地においては三陸沖に推定される親潮古陸,飛騨帯では削剥されつくした基盤岩,美濃-丹波帯では中央構造線にそう失われた領家帯,四万十帯では黒潮古陸がオーソコォーツァイト礫の供給地であったであろう。日本列島の下底にはオーソコォーツァイト層を含む先カンブリア基盤が存在すると考えられる。

日本列島の先カンブリア基盤岩としてのオーソコォーツァイト岩

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