コールドトラップを組み合わせた還元気化原子吸光法による天然水中のアンチモン,セレンの酸価数別定量

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液体窒素コールドトラップを組み合わせた還元気化原子吸光法を用いて,天然水中のアンモン(III),アンチモン(V),セレン(IV),セレン(VI)の酸価数別定量を行う方法を検討した.試料中のアンチモン化合物,セレン化合物は,テトラヒドロホウ酸ナトリウムによりスチビン,セレン化水素にそれぞれ還元され,液体窒素コールドトラップに冷却捕集される.これを再気化して原子吸光装置により定量を行う.酸価数別定量は,アンチモンの場合,還元時の試料溶液のpHを調整することによって行った.又,セレンの場合は,セレン(VI)がテトラヒドロホウ酸ナトリウムにより直接還元気化できないことを利用した.又,分析感度向上のため,アンチモンの場合,充てん剤としてシラン処理ガラスビーズを使用し,セレンの場合は充てん剤を使用しないほうが有効であった.又,ドライアイス-2-プロパノール寒剤を用いて発生する水分を捕集した結果,本法の再現性は改良され,相対標準偏差はアンチモン,セレンの場合とも数%であった.妨害の除去に関してはEDTAを利用して妨害イオンをマスキングする方法を検討し,妨害の影響を取り除くことができた.本法の検出限界は,試料量50mlのときアンチモン(III+V)で16ppt,試料量400mlのとき,アンチモン(III)で1ppt,セレン(IV),セレン(IV+VI)で2pptであった.本法による天然水中のアンチモン,セレンの分析の結果,アンチモンはほとんどアンチモン(V)の状態で存在し,その濃度は70〜460pptであった.又,セレン濃度はセレン(IV)が3〜30ppt,セレン(VI)が3〜60pptであった.
1986-02-05

コールドトラップを組み合わせた還元気化原子吸光法による天然水中のアンチモン,セレンの酸価数別定量

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